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近頃、テレビや雑誌で「食育」という言葉を盛んに耳にするようになりました。 でも、「食育」という言葉をよく聞くわりには、実際にどんなことをしたらよいのかその内容がいまひとつ見えてきません。 フードプロデューサーとしてテレビや雑誌などでご活躍されている小倉朋子さんに、3回にわたって「子どもの食育」についてお話を聞きました。 |
「食育」という言葉をよく聞くようになりましたが、なぜですか? 「日本人の食が乱れていることの現れですよね。実際のところもう末期症状に来ているのではないでしょうか。農林水産省・厚生労働省・文部科学省の三省が食生活指針を出していますが、その中には、食事を楽しみましょうとか、家族でコミュニケーションを取りながら食べましょうとか、本当に基本的なことが打ち出されています。 今、人と一緒に食事をするのを嫌がる若い人が増えていますが、小さい頃から誰かと楽しく食事をしたという経験をほとんど持っていないことも多いのです」 |
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食がないがしろにされてしまった原因は? 「衣食住という言葉の中で、食だけが命と直結するものです。世界には、衣服をまとわない生活や野宿をしながら暮らす生活だってあるわけですけれど、食べないというのは聞いたことがありません。食べないと死んでしまうわけですから、食事というのは、本来、生きることに直結したゆるぎのないものです。 でも、たった1回きりのものではないから、次があると思ってしまうものだから、ないがしろにしてしまいやすいものでもあると思うのです」 |
食生活を見直すために、何をしたらよいのでしょう? 「食べ物って、食べてしまえば目の前から消えてなくなってしまう。でも、どこかに勝手に姿をくらましてしまうわけではなく、すべてが身体の中に入っている。血となり肉となって、自分を支えてくれているわけです。今のお母さんは忙しくてなかなか手料理が作れないとか、家族とコミュニケーションがとれないとおっしゃる方が多いのですが、一日24時間は、どんなにお金を払っても増やすことはできません。まず食育を始める前に、自分はいったい24時間の中で何を大事にしたいのか、食の優先順位はどうあるべきなのか、そのあたりをしっかりと考えてみる必要があるのではないでしょうか」
食生活に対する意識を高めるには? 「自分の中で食の優先順位を引き上げることです。食の優先順位をほんの少し引き上げただけで、スーパーで安価なお総菜を見つけても、ぐっと我慢して買わないようになるし、知らなかった料理法にも興味が持てるようになる。少しずつですが食に対する意識や感覚を高めたり、変化させていくことができるようになると思います。でも、無理をしても長続きしないので、できる範囲から始めてみるのがいいですね」 |

子どもの食生活には、お母さんの価値観が大きな影響力を及ぼします。小倉さんご自身がお母様から受けた影響は? 「うちの家系は代々、食を大変大切にする家系です。手作りにしろ、外食にしろ手間暇を惜しまない伝統が長い間続いているという感じ(笑)。毎日のお味噌汁も鰹節を削ったり、ごまをすり鉢で擦ったり、料理に合う食器を選び、箸置きを並べるのが、私の子供のときのお手伝いの日課。 |
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よく外食もしましたが、本物の味を子供にも伝えたいと思っていて、老舗の料亭やホテルのレストランに出かけていました。もちろん買い食いなど一切させてもらったことはありません。食べものを残すことも許されませんでした。こと食に関しては、とても強い信念の持ち主だったと思います」 本物志向のご両親と一緒に、幼い頃から懐石料理やフランス料理のフルコースを味わってきた小倉さん。小学校の高学年の頃には、ご自身でコース料理を再現するほどの料理好きに成長していました。 「子どもは、自分に食事を与える役目を持った人にしか、食事を与えてもらうことができません。食事を作ってくれる人を選べない。だからお母さんには、子どもの身体だけではなく、こころの成長の責任者であることをもっと認識してもらいたいと思うのです。“食の総責任者は自分”と覚悟を決めて、家族の食事を作ってもらいたいですね」 |

東京生まれ。テーブルマナーと総合的に食を学ぶ「食輝塾」主宰。 日本箸文化協会代表。亜細亜大学大学講師。 フードプロデューサーとして、飲食店・企業・自治体のコンサルティング、食関連事業企画やメニュー開発を手掛ける。食関連教材開発、検定企画なども行う。 食育、食文化、フードビジネス、健康と食、テーブルマナーなど幅広い専門で講演も行う。 著書に、「“いただきます”を忘れた日本人」(アスキー新書)「グルメ以前の食事作法の常識」「接待以前の会食の常識」(講談社)、他多数。
公式サイト http://totalfood.jp |
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